トランスジェンダーの人々の存在は古代から世界各地に記録されており、特定の文化においては聖職者・シャーマン・第三の性として社会的役割を担ってきた。近代以降、医学・精神医学がトランスジェンダーを「病理」として定義したことで、当事者は強制的な治療・施設収容・犯罪化の対象となった。転機となったのは1969年のストーンウォール事件で、この反乱の最前線にいたのはマーシャ・P・ジョンソンやシルヴィア・リヴェラといったトランス女性・クィア・有色人種の人々だった。1970〜80年代にはトランスジェンダーの組織化が進み、エイズ危機への対応を通じてコミュニティの連帯が深まった。WHOが国際疾病分類(ICD-11)からトランスジェンダーを精神疾患の分類から外したのは2019年のことである。現在、トランスジェンダーの権利をめぐる法整備と社会的バックラッシュが世界各地で同時進行しており、文化史的な転換点にある。→ストーンウォール事件、→TERF
