「オネェ」とはもともと、女言葉(オネェ言葉)を使うゲイ男性を指すコミュニティ内部の言葉だった。しかし1990年代以降、テレビのバラエティ番組が女性的な言動をする出演者を「オネェ」として一括りに扱うようになったことで、個々の性自認・性的指向を無視したまま、「女性的に振る舞う男性」全般を指す曖昧な総称として広まった。
こうして生まれた「おねぇ系タレント」というカテゴリーは、ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー・異性愛者など、異なるアイデンティティを持つ人々を「キャラクター」として平板化する機能を持つ。「美意識が高い」「女性と男性両方の気持ちがわかる」「人生経験豊富で相談に乗れる」といったステレオタイプなイメージが付与され、当事者の複雑な経験よりも消費しやすい「キャラ」が前景化された。
日本のテレビにおける性的マイノリティの可視化は、こうしたおねぇタレントの活躍によって一定程度進んだ一方で、笑いや感動の素材として消費される表象にとどまりやすいという批判も根強い。これはメディア表象における「トークン化」の問題でもあり、可視化と尊重が必ずしも一致しないことを示している。→クィアベイティング、→メディア表象
